今日もワインを飲んでます そして思いついたことを書きつづる

キリストの血入門 22

プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
ワインが「キリストの血」であることから、キリスト教について勝手に語っていく第22回です。今回もワイン屋の店長が宗教学者になって語りますので、誤りがあっても許してください。

 

 

前回は正教会についてでした。今回はをカトリックの異端審問を取り上げます。

 

カトリック教会では中世以降において、異端審問というシステムがありました。正統的なキリスト教信仰に反するもの、つまり異端である可能性のある人を審問するものです。10世紀以降からカトリック教会内に誕生した信徒活動の一部で、最初は地域内の信仰を同じくする人々の集会のようなものでしたが、それが周辺地域にまで及び、大規模な運動に進展していきました。
異端審問が飛躍的に広がった契機としては、1022年の処刑事件だと考えられいます。フランスのオルレアンで起きた事件です。10数人の異端者を処刑した事件で、フランス王ロベール2世は火刑を命じたというものでした。このときにオルレアンの会議に集まっていた司教たちが異端発覚について話をしていたようです。そして、このオルレアンでの事件によって、異端の発覚を本格的に広がっていったといわれます。

 

異端とは、あくまでカトリックの信仰に反するということで、初期キリスト教の時代では、異端論争というより神学論争数多く行われいて、中世の異端とは異質なものでした。大きく変化したのは、ローマ皇帝のコンスタンティヌス帝によるキリスト教公認以降の統治システムとの融合でした。ローマ帝国の統治システムの中に、キリスト教も組み込むことで、教義内容は異なる宗派の容認は危険視されたのでした。
そのために、現状の教義に反する意見、学派などは異端として退けることにしたのでした。これはキリスト教神学の理論化に繋がったとともに、宗教的な問題の裏に為政者の統治のシステムが隠されていたともいえるものでした。
異端審問は西ローマ帝国が滅亡し、その後に混乱期があったことで、その期間は特に動きはありませんでした。それが中世になって、各地の諸勢力分布が確定しつつ、キリスト教の権威を集中化させることで機能していきました。その背景の一つとして、信徒活動が活発化したことも関係しているわけです。

 

異端審問に関連して、魔女狩りというものもありました。これは異端審問の形式がありますが、必ずしも同じものではありません。
そもそも異端審問とはキリスト教信仰という点では同じでありながら、異端の信仰を持つ人が対象であるのに対し、魔女狩りは、キリスト教信仰すらない人が対象でした。この魔女狩りについては、改めて取り上げたいと思っています。

 

異端審問が本格化したのは12世紀に入ってからでした。直接の影響はカタリ派でした。カタリ派を異端とし、その地域の領主たちが個別にカタリ派を捕縛し、裁判を行っていましたが、1184年のルキウス3世による教皇勅書『アド・アボレンダム』により、教会での公式な異端審問の方法が示されることになりました。ただ教会には司法権や処罰権がありませんので、この勅令による教会での異端審問システムは、それほど機能していなかったともいわれます。むしろ、その後に領主たちによって、教会の異端審問を補助するスタイルをとることで、異端審問の結果、有罪判決を受けたのち、領主が処罰するという流れになっていきました。このようなスタイルになると、様相が一変しました。
この異端審問システムを積極的に取り入れたのが神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世で、法制化し、皇帝のという権限によって死刑までできるようにしたのでした。
この審問は現在の裁判だけでなく、当時の一般的な訴訟とも異なっていました。異端審問の場合は、異端審問官によって、自らが起訴することができ、しかも自らの裁量で裁くことができたのです。そのため、証拠もうわさ話が採用されたり、密告者の証言だけで逮捕することができたのです。しかも証言者の名は被告には告げられませんでしたから、偽証があっても判断不能だったのです。

 

異端審問という制度は、フランスや神聖ローマ帝国だけでなく、さらに北方のスカンジナビア諸国などにも拡大していきました。しかし、すべての地域で定着したわけではなく、地域による差異は大きく、穏健な形式のものへと変容していきました。イングランドの場合は、異端審問という制度は伝わったと思われますが、はほとんど行われなかったといわれます。
中世の異端審問とは、西ヨーロッパ地域を中心に一般化したものの、実際にはそれほど多くの人々が処刑されたものではないようです。カタリ派のような、カトリックから見て明確な異端派が多くなかったことも関係するといえます。

 

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