今日もワインを飲んでます そして思いついたことを書きつづる

キリストの血入門 17

プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
ワインが「キリストの血」であることから、キリスト教について勝手に語っていく第17回です。今回もワイン屋の店長が宗教学者になって語りますので、誤りがあっても許してください。

 

 

前回はローマ帝国の東西分裂についてでした。今回はフィリオクェ問題についてです。

 

フィリオクェ問題は、キリスト教の神学上最大の論争といわれるものです。これによりローマのカトリック(西方教会)とビザンツ帝国(東ローマ帝国)の正教会(東方教会)とが完全に分離することになりました。東西分裂を決定的にしたものです。
この問題は、ニカイア・コンスタンティノポリス信条の解釈・翻訳をめぐって対立したものでした。

 

キリスト教に詳しくない人には、大きな問題だと感じないかもしれませんが、東西の意見対立は根深い物があります。
論点となるのは「聖霊」あるいは「聖神」についてです。カトリックは「聖霊は父と子より発する」としていますが、正教会では「聖霊」が「聖神」となり、「聖神は父より発する」としています。どちらも父なる神、子にして神、さらに人でもあるのがイエス・キリストとする三位一体の構成なのは共通ですが、この相違点についてはお互いに相容れないものになっていました。

 

東西対立は9世紀から顕著化していきました。
しかし、古代から続くキリスト教文化の一体性が大きく分かれたとは、必ずしもいえないようです。
そもそもが、この時代のキリスト教は、東地中海沿岸でギリシア語、西地中海沿岸でラテン語が主に用いられていたという背景もあります。従来のローマ帝国はラテン語ですが、キリスト教の教義については主に東地中海沿岸で理論的発展してきました。そのためラテン語とギリシア語のそれぞれの文化圏の違いがありながら、神学理論の著述がギリシア語が主だったことから、ローマ教会ではラテン語への翻訳を行っていたという関係がありました。
言語の違いによる差はありながらも、キリスト教文化という面では一体性は十分に保たれていたとみられます。

 

この言語の違い、翻訳がこの問題に関係してきました。
ニカイア・コンスタンティノポリス信条の原文はギリシア語でした。その中で「父より出で」という部分を、カトリックがラテン語で「父と子から出て」というように付け加えて翻訳したことが問題となりました。
実はこの問題はそれだけでなく、当時のコンスタンティノポリス総主教のフォティオス1世と前の総主教だったイグナティオスとの対立があり、いわばコンスタンティノポリス教会内部の政治的争いでしたが、これにローマ教皇が介入してきたのでした。しかも前の総主教だったイグナティオスを支持したのでした。これにより東西のキリスト教会が分裂するような対立へと進化してしまったのです。

 

ローマ教会の介入によって、イグナティオスは勝利を収めるとともに、ローマとの関係も改善するように動き、東ローマ皇帝のバシレイオス1世をフォティオスを罷免することになりました。
これにより東西教会の分裂は調停されるようになりましたが、第4コンスタンティノポリス公会議の正当性についての意見の相違は残り、両教会が完全にもとの状態に戻ることはありませんでした。しかも肝心なフィリオクェ問題では、東西教会で見解が一致することはありませんでした。その結果、1054年に大分裂となったのでした。

 

この問題は1438年に東西合同で開催されたフィレンツェ公会議で再び採り上げられました。このときに、東方正教会の主教たちは「父と子から出て」を承認しました。これで東西での統一見解となるかと思えましたが、そのようにはなりませんでした。
この公会議に出席していたキエフ主教を、ロシア正教会が破門し、決議の承認を撤回したのでした。これで東西教会の統一は夢となり、分裂はそのまま継続することになりました。

 

正教会では、現在でも「聖神は父からのみ発出し、子を通して派遣される」としています。

 

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