今日もワインを飲んでます そして思いついたことを書きつづる

キリストの血入門 14

プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
ワインが「キリストの血」であることから、キリスト教について勝手に語っていく第14回です。今回もワイン屋の店長が宗教学者になって語りますので、誤りがあっても許してください。

 

 

前回はエフェソス公会議でネストリウス派が異端とされ、その後、中国や日本へと伝わったことについて述べました。今回はさらにネストリウス派に関連する、ある種の「トンデモ説」をまじめに語ります。

 

まず、日本のネストリウス派を語る前に、日本史に登場する秦氏一族にふれたいと思います。
秦氏は実は謎の一族で、応神14年(283年)に渡来したと言われていますが、詳細は分かっていません。一説には「秦」から、秦の始皇帝の末裔とも言われたりしました。もちろんこの説は根拠に乏しく、文字からのこじつけといえるかもしれません。結局、海外からやってきた渡来人であることは確かですが、どこの出身なのか、どの民族なのか、全くわかっていないのです。
そのため、出自については多くの説があり、朝鮮半島から渡来した朝鮮人であるという説のほか、中国大陸から漢民族が渡来したという説、シルクロードを経由して渡来したとして、ウイグルなどの西域の民族説、さらに先に位置するトルコ系、そしてユダヤ人説などなどです。
高度な文化と技術を持った一族で、日本に定着後は、養蚕、機織、治水など、朝廷には重宝される技術により、一大勢力にまで発展していきました。

 

その秦氏は多くの神社とも関係しています。
思いつくままに秦氏に関連する神社を挙げると、まずは日本最大の末社のある伏見稲荷大社、同じく京都では上賀茂神社、松尾大社、そして九州の宇佐八幡などです。これらの神社は秦氏が勧請したものなのです。

 

まず、伏見稲荷大社ですが、空海との関係があります。
空海開祖の教王護国寺(京都の東寺)の守護神が伏見稲荷なのです。それだけでなく、そもそも「稲荷」を現在の漢字に当てたのも空海なのです。もちろん高野山を開山するときも稲荷との関係があります。それほど真言密教と稲荷とは関係深いものなのです。
では稲荷という神の正体とは何でしょうか?
一般には文字通り「稲」から穀物の神とされています。しかし、この字を当てたのが空海であり、ある意味で日本古来のもののように演出する意図まで見えます。天才といわれた空海が、もともと「伊奈利」などいくつかの当て字で書かれたものを変えただけ、などと考えてはいけません。
渡来人の勧請した神社の神である以上、「イナリ」は外来語であった可能性が高いわけです。それをあえて空海が「稲荷」にしたわけです。

 

でも、稲荷社といえばキツネや油揚げのイメージが強く、五穀豊穣や商売繁盛の神様ではないか、と思われるかたは多いでしょう。確かに現在の見方からすればその通りです。
しかし、これらはすべて後世に付け加えられてきたものなのです。特に商売繁盛など、江戸の商人によるもので、歴史的にはそれほど古くありません。

 

さて、ここでネストリウス派です。
イエスを描いた宗教画には、十字架に張り付けられたイエスの頭上に木札が打ちつけてあることが多くあります。そこに書かれた文字は「INRI」で、「IESUS NAZARENUS REX IUDAEORUM」を略したものです。意味は「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」です。
これをネストリウス派では、「インリ」や「イナリ」と読んでいました。
このことだけで、稲荷社をネストリウス派と結びつけるのは無理がありますが、稲荷が外来の神であることは間違いなく、秦氏がネストリウス派であり、日本の神道にあわせた宗教とした場合、ありえるのでは、という一種の可能性です。

 

もう少し、補助する要素を加えるとすると、稲荷社には「稲荷大神秘文」があります。
この最初の文章に注目です。
「~夫神は唯一にして御形なし虚にして霊有」
要するに神は唯一であり、形がなく、霊があるというのです。神はたった一つであり、いわばそれが稲荷ということになるのでしょう。多神教の日本の神道とは相いれないものなのが良く分かります。
古来の日本の価値観では森、山、海、川など神羅万象あらゆるものが神であり、そればかりか怨霊という思想があって、恨んで死んだ人も神として祀り上げるものです。それなのに、稲荷神だけが全く異なる宗教観というのは、実に不思議なものです。
これもネストリウス派と安易に結び付けて良いものではないでしょうが、かなり気になるものです。

 

最後に付け加えるのは、再び空海に戻って密教です。
真言密教の儀式の中には、密教法具を手にして十字を切る作法があります。明らかにキリスト教の作法に見えますが、この意味を知るもの誰もいません。おそらく空海も弟子たちに語らなかったのでしょう。
前回にも述べましたがイギリスのエリザベス・アンナ・ゴルドンは、「大秦景教流行中国碑」のレプリカを高野山に建立しています。ネストリウス派がここまで行きついた記念碑ですが、高野山側もこのレプリカを受け入れています。
このような話はいくらまじめに語っても、結局は「トンデモ説」で終わるので、今回はここまでにしましょう。

 

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