今日もワインを飲んでます そして思いついたことを書きつづる

出自不明のオドアケル(Odoacer)

プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回はオドアケル(Odoacer)について勝手に語ります。
ワイン最大の産出国であるイタリアについて、西ローマ帝国最後の側面から覗いてみます。

 

 

西暦395年、ローマ帝国は東西に分裂し、イタリアの地域は西ローマ帝国として残りました。
しかし、ヨーロッパでは4世紀からゲルマン人の大移動により、その波が帝国の領内に及ぶようになっていました。さらにゲルマン人だけでなくフン族などもローマをたびたび掠奪したことで、首都もローマではなく、ミラノ、ヴェンナなどに遷都して辛うじて帝国を存続させていただけで、絶えず大きな脅威にさらされている状態に陥っていました。
ローマ帝国の防衛についても、敵であるゲルマン人の傭兵部隊に依存しなければならないほど弱体化し、皇帝も傭兵部隊の意向により廃位されたるするほどだったのです。

 

オドアケルは出自不明で、西暦470年にはローマ軍の将軍となっていました。
ゲルマン人傭兵たちは、475年にローマ皇帝の交代に際し、新しい皇帝に土地を要求しましたが、これが拒否されたことで傭兵隊長オドアケルに迫りました。
翌476年、オドアケルは西ローマ皇帝ロムルス・アウグストゥルスを廃位し、追放しました。さらに「西ローマ帝国に皇帝は必要ではない」とする勅書を東ローマ帝国の皇帝ゼノンへ送りました。このときに西ローマ皇帝の帝冠と紫衣まで東ローマに返上したのでした。
歴史的な一幕といえますが、この頃すでに西ローマ皇帝は統治能力を失っていて、オドアケルによる皇帝追放はそれほどまでに衝撃的なこととはいえないレベルのものだったようです。ただそれでも形式的には西ローマ帝国の滅亡を意味することであり、しかもゼノンによって、オドアケルはローマ貴族とイタリア領主(dux Italiae)の称号まで与えられたのです。
オドアケルはローマ皇帝ではなく、イタリア本土を統治する権限をが与られ、イタリア王という立場になりました。

 

世界史の教科書では、このオドアケルの皇帝追放により「西ローマ帝国の滅亡」として、重要項目の扱いとされています。
しかし、先にも述べたとおり、それ以前から皇帝の統治能力はなく、同時代の人々からすれば、それほどのニュースではなかったのかもしれない、というのが現代の解釈です。
実質的に滅亡したという観点で見ると、オドアケルの皇帝追放以前の5世紀初頭からというのが無理ない考え方のようです。
その頃、すでに帝国は実質的に機能していなく、滅亡した状態でありながら、死体のまま継続していたということのようです。
具体的には、378年に西ゴートとのアドリアノープルの戦いに大敗北し、409年にはヴァンダル人などのライン侵攻、ブリテン島の喪失、というように、この期間にローマ帝国は帝国の支配権を大きく失っていました。この敗北の連続が帝国としての機能、皇帝としての統治能力を失わせ、実質的な滅亡状態に導かれたようです。
つまり、ヨーロッパの主役交代がこのときに始まったことになるわけです。

 

このようにオドアケルが最終的なトドメをさしたというものの、実態は西ローマ帝国が急速に衰亡しのは、ゲルマン人を始めとする多くの外敵の侵入と、それに対峙する皇帝の能力のなさが原因であるとすることが、一般的な歴史の解釈です。
しかし、この解釈には異論を唱える人もいます。
その考え方が「ローマ人」の扱いというものです。
東ローマ帝国ではローマ出身ではなく、様々な民族が皇帝を支える統治機能の要職に含まれていたことで、民族は関係なく「ローマ人」としての意識を持ち続けていました。これに対して西ローマ帝国では、同じ「ローマ人」という意識は多民族にはなく、地域での独立的な自治が機能し、西ローマ側では、彼らを「ローマ人」として扱わず、むしろ排除する志向へと変化したようです。
外圧が高まる中で、排他的な「ローマ人」は偏狭な差別で対応し、かつての異民族まで許容し、同じ「ローマ人」とした世界的国家から狭い民族国家になったことで、帝国を維持できなくなったというものです。
これは南川高志『新・ローマ帝国衰亡史』(2013・岩波新書)の指摘を勝手に解釈したものですが、確かに世界的な国家のアイデンティティを考えると、なるほど、とうなずける気もします。

 

さて、オドアケルですが、484年に東ローマ帝国の内乱がおこり、ゼノンと対立する皇帝レオンティウス側につきました。
これに対して、ゼノンはテオドリックにオドアケル討伐を命じました。テオドリックはイタリアに侵攻し、オドアケルは相次いで敗れ、ついに493年に降伏しました。
そして暗殺されました。
テオドリックは、オドアケル討伐の功として、イタリア王の地位を承認されたことで、東ゴート王国が成立することになったのでした。

 

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