ワインにとって、切っても切り離せないワードが「飲み頃」です。
当たり前ですが、飲み頃前や飲み頃を過ぎたワインよりも、飲み頃のワインの方が美味いわけです。
そのワイン本来のポテンシャルが開花し、複雑性、深遠さが体感できます。
前回の「古いワインは美味しいのか? Vol.1」では、並級品のワインのお話でしたが、そのブログの冒頭で、私が「オールドヴィンテージワインを取り扱っている理由」の一つが『ビジネスとして』といいました。
これは生まれ年のワインを安価で欲しいというお客様が多くいらっしゃり、それを取り揃えることで利益が上がるからです。私もこの資本主義の社会で生活していますので、経済的メリットは当然求めています。
しかし、私はもう一つ、オールドヴィンテージを取り扱う理由があります。
こちらは、ハッキリいってビジネス度外視の試みであり、生意気な言い方をすれば『ミッション』なのです。
なぜなら、その試みに対する正しいマーケット自体が残念ながら日本には無いからです。
まったくもって、市場が出来上がっていないのです。
どういうことかというと、一般的にワインのプロといわれるような立場にあるソムリエであっても、殆どの方が「結局オールドヴィンテージワインは美味しくない!」と断じる方が大変多いこと。
その響きからくる崇高なイメージとは裏腹に、所詮ワインは若い内の、力強い風味を保っている時の方が美味い!というご意見の方が殆どです。
皆さんがプロと信じている立場にある者が、こういう意見であるから日本ではヴィンテージワインのマーケットというのは未だに成熟していません。
市場の無いところで利益を獲得することはできないのです。
だから、まず市場を造る!
というとんでもなく大きなことを胸に秘めております。。
まず大きな課題を上げると、グラン・ヴァンといわれる偉大なワインにおいて、その殆どが
『【飲み頃】に飲まれていない』
という誠に勿体ない現象が蔓延しているということ。
極端な見方をすれば、1本5万円の価値があるワインを5万円で買ったにも関わらず、2万円もしくは3万円分の価値しか愉しまないというワケのわからない行動なのです。
フランスで造られる、クラシックスタイルの偉大なワインなどは、【本来なら】飲み頃を迎えるまでに最低10年は掛かります。10年経って、『やっと飲める』入口に来たという状態であり、まだ若いのです。
真の飲み頃は、例えばボルドーグラン・ヴァンの代表格、メドック格付けの標準的なレベルの物で20年熟成~30年熟成くらいでしょうか。
その後10年ほどは、古酒特有の枯れ感が愉しめる状態で、これはこれで素晴らしいものです。
また最高峰といわれるクラスの造り手の、偉大なヴィンテージのワインなどは、もっともっとそれこそ世紀を跨いで飲み頃が続きます。
ではなぜ?、プロといわれるソムリエたちがオールドヴィンテージに否定的なのでしょう?
答えは簡単です。
彼らは我々ワインの流通の、特に私のようにフランス現地に独自の供給ルートを持っている立場からいえば、ワインの知識や見識、テイスティング能力、サーヴィスに長けた『素人』だからです。
あくまでもワインの飲み手としては、消費者と同じ土俵に立っているのです。
(とっても生意気に聞こえたらすみません。。決してソムリエを否定し、自分を肯定しているわけではありませんので、誤解の無いようお願いします。)
だから、
正しい熟成を経たワインを飲むチャンスがないのです。
私も何度か飲みましたが、確かに国内で年を取った古いワインは、はっきりいって美味しくありません。
どれもこれも経年変化以上に年を取っており、メドック格付けのような偉大なワインでも30年もすれば酸化している物すら見受けるほどでビックリします。
~ 続く ~
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