http://www.ciel-vin.jp/contents/wine-blog/20090508post-50
の続きです。
さて、ヴィンテージワインはそもそも何が良いのか?
前回、ワインの味わいの要素を簡単にまとめました。
そしてヴィンテージワインはそれらがどれも当てはまらないと。
???かも知れませんね。
先に進む前に、「飲み頃のワイン=最高の状態のワイン」という方程式を頭に叩き込んでください。
さらに、最高の状態とは「複雑でバランスが良い」
プロの評論家などがワインを賛美する言葉としてよく使われますね。
この定義もしっかり頭に叩き込んでください。
では複雑とはどういうことか?
多種多様な香りや味わいの要素があるということ。
バランスが良いとは?
特定の要素が抜きんでていないということ。
多種多様な要素とは異なる要素がいくつも、それこそ優れたテイスターともなれば数百種類もの要素をキャッチします(らしい)。
例えば、甘口と辛口は反対語ですが、
「なんともいえない甘味、しかしその奥に心揺さぶるほど良い苦味がある。」
また、力強さと優しさも反対語ですが、
「巨大といえるほど力強いが、それでいて柔らかく優しい飲み口だ。」
また香りがワインにおいて重要な要素ですが、香りを大まかに分類すると
・果実系(カシス、ベリー、チェリー、プラム、サクランボ、バナナ、アカシア…等々)
・スパイス系(ヴァニラ、アニス、ナツメグ、ブラックペッパー、シガー、タール…等々)
・植物系(バラ、草、針葉樹、杉、ハーブ、ミント、赤い花、白い花…等々)
・動物系(なめし革、じゃこう、燻製、血、生肉、汗、ムスク…等々)
・その他(腐葉土、キャラメル、石、鉄、バター、トリュフ、アーモンド…等々)
と色々ありますが、最高状態のワインは、果実系・スパイス系・植物系・動物系・その他がすべて混在します。
そしてバランスが良いわけですから、何か特定の要素が目立つことがない。
よくワインカタログなどに、甘口/辛口、重い/軽いとあったりします。
また、カベルネ・ソーヴィニヨンなら誰もがまず「カシス」のアロア。
ピノ・ノワールなら「ラズベリー」のアロマを思い浮かべるのではないでしょうか。
また樽の香りもそうでしょう。
若いワイン(10年未満)は、上に書いた特定の要素が目立ちすぎてしまい、どんな偉大なワインを飲んでも同じような香りや味わいしか楽しめません。
果実系、樽香、タンニンに酸。
「重厚で力強く樽香が効いており、果実のアロマに溢れるワイン」が良いワインと信じ込んでしまうのです。
どうしても刺激の強い要素が前面に出るので、もっと奥にある、飲み手を感嘆させてやまない様々な「隠し味」、「本当の姿」を強烈すぎる特定の要素が覆い隠してしまいます。
例えばシャトー・ラトゥールなどは、ボルドーでも最大級の巨大なワインです。
しかし、しっかり熟成させたラトゥールのそれは決して重たいものではなく、相反する爽やかなフィネスを兼ね備えています。
マルゴーなどはエレガントとして広く知られていますが、あの目の詰まったようなタンニンの強さはボルドーでも一番でしょう。
10年以内のマルゴーを飲んで”エレガント”と称賛するのはまったく???
それら特定の要素(刺激の強い)が数十年の熟成により和らいだとき、やっとベールを脱ぎすてて飲み手に本当の姿を見せてくれます。
しっかり熟成したヴィンテージワインはまさにそう。
もし貴方が若いワインしか飲んだことがないのなら、同じ銘柄のヴィンテージワインを飲むとまったく別のワインだと思うかも知れません。
今まで感じることのできなかったさまざまな要素をはっきりと体感し、ビックリすると思います。
ヴィンテージワインには、甘いや辛い、カシスやラズベリーのアロマなどと一つが誇張されることはありません。
そして飲み口に関しては、すべて
柔らかく
優しい
芳醇で
豊満で
さやかな
ビロードで
シルクのタッチ
しなやかな
など、総じて良い方向へすでに到達しています。
ヴィンテージワインは、決して希少性やステイタス性によって高価なわけではなく、感動すら与えてくれるほどの「美味しさ」が魅力なのであり、それを体現した世界中の愛好家は若いワインの何倍ものお金を払ってでも入手しようとするのです。
どうです?
ヴィンテージワインの良さが伝わりましたか??
私なら、格上の高級な若いワインへ1万円払うなら、少し格の落ちるヴィンテージワインに1万円払って飲みます。
ワインの本当の素性など、それなりの熟成を経た後でなければどうせわかりません。
ましてやヴィンテージ毎の良し悪しやテロワールの違いなどは絶対わかりません。
はっきりいって若いうちは、格上も格下もほとんど違いがないんですよね。
だから高いお金を払う意味がない。。
きっと貴方もヴィンテージワインを飲みとこういうでしょう。。
「鮮やかなお花畑のような芳しいアロマ、、同時に森の奥深くの針葉樹のような静的なニュアンスも感じる……口の中を一杯に満たす相反するさまざまな要素、力強く豊満だが優しく、甘味溢れるテクスチャーだがとても爽やかで、それでいてピリピリと舌を刺激するほど良い苦味がり、それが余韻として長く残る……おぉ~~見事なワインだ。。」
注)遠峰一青ではありません(笑)
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