ヴァレ・デュ・ローヌは広大な地域である。
このブドウ畑はリヨンの南から30km弱の距離にあるコート・ロティの険しい斜面に始まり、高原、平野と続き数百キロ下流のアヴィニョン辺りに達する。
この地域は、ヴィエンヌからヴァランスに至る北部と、ボレーヌからアヴィニョンまでの南部との2つにはっきりと分けられる。
まず北部では単一ブドウからワインが造られるが(赤ワインはシラー、白ワインはヴィオニエかマルサンヌ)、南部ではグルナッシュを主流に数種のブドウを上手く組み合わせて造られる。
一言でローヌ・ワインといっても、北部と南部では大きな違いがある。
北部は地理的に非常に範囲の限定されたクリュ(コルナスの並外れた段丘やエルミタージュの丘など)が固まった地方であるのに対し、南部はコート・デュ・ローヌにおける素朴で安価なワインの大量供給地である。南部のワインは都市のビストロに溢れているが、コート・デュ・ローヌのイメージアップの役割は果たしていない。
南部には、シャトー・ヌフ・デュ・パプ、ジゴンダス、ヴァケラス、タヴェル、リラックといったクリュがあるが、それらには北部の同等のクリュに備わった”密度”や”均質性”といったものが欠けている。だからといってこのことが南部では優れたワインが生まれないということを示すものではない。
しかし優れた品を見つけるためには、愛好家側の熱心な研究が必要だ。
それくらい南部では品質にバラツキがある。
北部のワインの方が当たり外れは少ない。しかし生産量が少なく、値段も高い。
特に最近のローヌ北部のワインは高値で取引されるようになって、、、困ったものだ。。
このようにローヌ・ワインは北部と南部に区別はされるが、「やっぱり旨い!」、「見事なグラン・ヴァン!」という言葉によって一つにまとめることができる。
健全で色が濃く、豊かで鮮やかな果実の風味を備えた赤、たっぷりとしたコクがありアロマに富む白。
この表現がヴァレ・デュ・ローヌの優良ワインの理想像だ。
私のお気に入りは、
北部:ポール・ジャブレ・エネ
南部:シャトー・ド・ボーカステル
信じられない品質の高さに、誰もが感動するだろう。
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