プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回はパンデミック(pandemic)について勝手に語ります。
2020年が終わり、2021年になっても新型コロナウイルスのパンデミック(pandemic)は収束する気配を見せません。飲食店の自粛も強化される動きがあり、ワインを飲むのも自宅が中心になっていく可能性が高いと言えます。
そもそも、人類は太古の昔から、さまざまな感染症と戦いを続けてきていました。今回のパンデミックは、グローバル化された世界になったこと、SNSなどでの発信が当たり前になったことなどにより、以前より各国の情報がより詳細に伝わってきたといえます。そして、このパンデミックは、原因も治療も十分に確立されていなかった時代においては、歴史を変えるほどの影響がありました。
古代エジプトの時代では、天然痘の流行があったといわれています。これは発掘されたミイラに天然痘の痕跡が認められていたからです。
歴史に大きな影響を与えたのは黒死病(ペスト)といえます。中世ヨーロッパのペストが最も有名ですが、実は過去に3回のパンデミックがありました。
最初のパンデミックは、西暦541から750年までの期間でした。このときはエジプトから地中海、さらにヨーロッパ北西部まで拡大しました。東ローマ帝国のユスティニアヌス1世の時代で、皇帝も感染したといわれています。さらに東ローマ帝国では、人口の約半数を失ったといわれています。そのため、国家の体制としては一時的に機能不全に陥ったほどでした。感染はヨーロッパにも伝わり、フランス、ブリテン島にまで達しました。このパンデミックにより、東ローマ帝国の旧西ローマ帝国統合の野望は打ち砕かれることになりました。
第2回は最も有名な14世紀のヨーロッパでした。このときに「黒死病」(Black Death)と呼ばれたのでした。これは一説によると、モンゴル帝国が関係していたといわれます。モンゴル軍が中国の雲南省地方に侵攻した際に、ペスト菌を媒介するノミと感染したネズミを連れてくることになってしまい、それがヨーロッパにもたらされたということのようです。ただし、中国起源説はあくまで仮説でしかなく、中央アジア起源説もあります。このときのパンデミックは中国、イスラム世界、そしてヨーロッパと、まさに世界規模となりました。
3回目は、やはり中国で、1894年(明治27年)の香港での大流行から始まりまりました。このときに世界で初めてペスト菌が発見され、その原因もわかるようになりました。
結局、感染症をもたらす病原体や対処方法がわかってきたのは、19世紀後半になってからだったのです。これにより感染症による死亡者は激減していきました。しかし、これで終わったわけではありませんでした。
20世紀になってからも、1918年のスペイン風邪は4,000万人以上が死亡、19689年の香港風邪でも100万人以上が死亡しました。21世紀になってからは、2009年に新型インフルエンザ(A/H1N1)が流行し、世界の214カ国・地域で感染が確認されました。死者の数は2万人弱といわれています。
また、新興感染症としては、エイズ(後天性免疫不全症候群、HIV)、高病原性鳥インフルエンザ、SARS(重症急性呼吸器症候群)などもありました。
今回の新型コロナウイルスも、いぜれは収束するでしょうが、それまでは感染予防を徹底して、美味しいワインは安全な場所で飲みましょう。