今日もワインを飲んでます そして思いついたことを書きつづる

  • ドイツ語入門 3(Vergleiche mit Englisch)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回はドイツ語入門の3回目です。

     

     

    前回は「ドイツ語入門2(Deutsche Verbstellungen)」と、「ドイツ語入門 番外(Amerikanische Deutsch)」を述べました。どうしても日本人は外国語というと「英語」になってしまうため、今回はドイツ語と英語を少し比べてみます。

     

    多くの日本人は、英語というと、外国語の習得というより、主要教科の一つという認識が強いと思います。そのため、義務教育による英語の学習が、そのまま英語の難しさに繋がっているかもしれません。
    では、義務教育の教科となっていないドイツ語は、どうなのでしょうか。英語と比較して、より難しのでしょうか、それとも簡単なのでしょうか?

     

    まず発音については、第1回の「ドイツ語入門(Übersicht)」でも取り上げています。単語のスペルを見ただけで、知らない単語であっても正しい発音ができるかどうかという点で、明らかに英語よりドイツ語のほうが簡単だといえます。簡単に分ければ、ドイツ語は規則正しく、ルールに沿った発音が多いといえます。それに対して英語は例外的な発音が多いため、知らない単語は発音できないともいえます。つまり英単語の綴りと発音が乖離しているからです。
    もちろんドイツ語の場合、日本人には馴染にないもの、要するに慣れた英語では見慣れない音もあります。変音の「Ä、Ö、Ü」ですが、これは完全に慣れの問題です。慣れれば、単語を見ただけで発音がわかることには変わりません。

     

    問題になるのは文法でしょうか。これも第1回でも触れましたが、やはり格変化が日本人には難しく難じることになるかと思います。
    最初に学ぶ外国語が英語の場合、そもそも格変化にそれほど気を使うことがないので、どうしてもドイツ語のほうが難しいと感じてしまうでしょう。英語の場合、代名詞を除けば、格変化がほとんどありません。主語であろうが、目的語であろうが、単語も定冠詞も不定冠詞も、さらには形容詞も変化しません。さらに名詞に性もありませんから、格変化とは無縁といえます。ドイツ語は3つの名詞の性にあわせて、1格から4格まで、つまり「3×4=12」で、12種類に変化することになります。さらに、冠詞のない場合、定冠詞、不定冠詞の場合でさらに「×3」、形容詞の有無で「×2」となり、合計で72種類となります。
    最初にドイツ語を学んでいれば、フランス語だろうと、ロシア語だろうと、この変化については当たり前のことと認識しているでしょうが、最初に変化しない英語から入るので、これは実に厄介なことになるでしょう。

     

    ただ、これも考え方によるかもしれません。英語の変化がないというのは、いわば簡略化された結果ともいえるわけで、この弊害は、変化しないがゆえに文章の厳密さはなくなり、ある種のあいまいさが生まれていることになります。ドイツ語は厳格であるがゆえ、格変化を完全にマスターすれば、明確な表現ができることにもなります。そういう意味では、英語より簡単といえなくもありません。

     

    ところで、世界の言語の難易度ランキングというのがあります。国際機関のUNESCOが発表した、言語の難易度ランキングでは、以下のような順位になっています。

     

    1位:中国語
    2位:ギリシャ語
    3位:アラビア語
    4位:アイスランド語
    5位:日本語
    6位:フィンランド語
    7位:ドイツ語
    8位:ノルウェー語
    9位:デンマーク語
    10位:フランス語

     

    ロシア語が入っていないのが、果たしてどうなのか、という気がしないでもないのですが、それはともかく、ドイツ語は7位で日本語が5位です。ドイツ語は日本語より簡単ですが、英語より難しいということになります。
    結局このランキングは、欧米言語から見て、なじみのない文字を使っている言語が難易度が高いということになるのかもしれません。そう考えると、英語と同じアルファベットを基本的に使っているドイツ語が7位というのは、確かに難しいといえるのかもしれません。

     

  • ルクセンブルク語入門(Lëtzebuergesch)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回はルクセンブルク語入門について勝手に語ります。

     

     

    フランス語、イタリア語、ドイツ語に続いて、今回はルクセンブルク語です。
    国名としてはともかく、言語としては聞きなれないかと思います。それもそのはずで、もともとはドイツ語で、その中の高地ドイツ語の中部ドイツ語に属する方言(モーゼル・フランケン方言)なのです。 ところがフランスとドイツに挟まれた小さな国だけあって、公文書はフランス語、日常使うのはドイツ語方言となっています。では、ルクセンブルク語とは何かといえば、ルクセンブルクで使われるドイツ語の方言を、「国語」としたもので、1984年に正式にルクセンブルクの公用語という扱いになりました。

     

    したがってルクセンブルク国内の公用語がルクセンブルク語となるわけですが、もともとがドイツ語の方言なので、国外にも使用する地域があります。具体的には、ベルギーでは、リュクサンブール州アルロン行政区、リエージュ州ブルク=ロイラントとザンクト・フィート周辺地域、フランスではロレーヌ地域圏モゼル県北西部、ドイツではラインラント=プファルツ州西部のビットブルク、トリーア周辺地域です。また移民がそのまま使用する地域もあります。
    しかし、それらを合計してもルクセンブルク語の話者は全世界で30万人程度です。これでは日本で学習者がほとんどいないのも頷けます。

     

    ドイツの方言ということで、ドイツ語を話す人にとっては容易な言語な気もしますが、実は必ずしもそうではないのが困ったものです。やはりフランス語の影響が強く、語彙がドイツ語由来だけでなくフランス語由来のものがかなり多くあります。フランス語を少しでも理解していて、なおかつドイツ語を話す人であれば、聞きとりに関してはそれほど難しくないかもしれませんが、ルクセンブルク語を話すというのは相当に難しいといえます。
    いわば、ドイツ語とフランス語が入り乱れた言語なので、そういう意味でおもしろいともいえます。

     

    では、具体的にドイツ語とフランス語との比較でルクセンブルク語を見ていきましょう。
    まず、あいさつ言葉で、フランス語では有名な「bonjour」です。ルクセンブルク語では「moien」。ドイツ語だと「Hallo」なので、どこにも似ていない印象を持つでしょうが、ドイツ語のハンブルク方言では「Moin」ですから、ルクセンブルク語と似ています。ただし、日本のドイツ語の教科書には出てこないものなので、北ドイツ居住者でないとこの似た感じは分からないかもしれません。
    今度はお礼の言葉です。フランス語では「merci」、ルクセンブルク語では「merci」なので同じスペルです。ドイツ語だと「danke」なので、似ているとはいえません。
    肯定と否定、ようするに「はい」と「いいえ」は、フランス語で「oui」と「non」、ルクセンブルク語では「jo」と「neen」、ドイツ語は「ja」と「nein」。フランス語の「oui」だけが外れている感じです。
    子どもの複数形、通りなどはドイツ語の方言だというのが良く分かります。フランス語の影響は低い単語です。子どもたちは、フランス語で「enfants」なのに対して、ルクセンブルク語では「Kanner」、ドイツ語で「Kinder」。通りはフランス語で「rue」ですが、ルクセンブルク語では「Strooss」、ドイツ語では「Straße」です。

     

    このように比較していくと、ルクセンブルク語はおもしろいことがわかります。
    標準ドイツ語を話せれば、ルクセンブルクでの会話は困らないといわれていますが、残念ながら入国したことがありません。ぜひ、一度訪れてみたくなりました。

     

  • 先印欧語(Pre-Indo-European languages)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回は先印欧語(Pre-Indo-European languages)について勝手に語ります。

     

     

    先印欧語(Pre-Indo-European languages)とは聞きなれない単語かもしれませんが、日本語を母語とするわれわれには興味深いことかもしれません。要するにインド・ヨーロッパ語族が占めている地域にありながら、それ以前から存在していた言語のことです。
    アジアの一部にもありますが、コーカサスやヨーロッパでは、そのままワイン産地でもあります。現在、多くは死語になってしまいましたが、フランスとスペインにまたがる地域には、現在でも生き残っている先印欧語があります。

     

    それがバスク語(euskara)です。
    バスク地方固有の言語で、話者はバスク人です。スペインでは、バスク州全域とナバーラ州の一部でスペイン語とともに公用語になっています。現在のバスク人は、スペイン居住者はスペイン語とバスク語、フランス居住者はフランス語とバスク語を話します。
    この言語は、現在使われているどの言語とも系統関係が立証されていません。フランス語圏とスペイン語圏に位置していても、それらの言語とも一切関係ありません。まさに孤立した言語です。

     

    唯一、バスク語と系統関係のある言語とされているのは、アクイタニア語(Aquitanian language)だけだといわれます。ただし、この古代言語は中世初期には消えてしまいました。
    紀元前58年のガリア戦争以前からバスク地方に居住していた人々がアクイタニア人で、話されていた言語がアクイタニア語でした。これがバスク語の祖先、あるいは近縁言語だとされています。他の地域ではバスク語に近い言語はありませんでした。
    バスク語については、文献や碑文などで残っています。特に10世紀以降になると、バスク語の人名、地名などが記された文献が増加しています。

     

    非インド・ヨーロッパ語ということで、具体的にどのような言語なのか、想像するのが難しいのですが、文法的には能格言語(Ergative language)だといいます。自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように扱われる言語で、他動詞の主語だけが能格性といって、別扱いを受けるというものです。
    これに対して日本語の場合は対格言語になります。自動詞の主語も他動詞の主語も助詞が付き、他動詞の目的語にも助詞が付きます。自動詞の主語と他動詞の主語が同じ標識で示される場合が主格となります。他動詞の目的語の格が対格となります。そのため能格性ではなく対格性となるわけです。

     

    バスク語の発音は、母音、二重母音、中母音、子音・半母音に子音と3種類の無声摩擦音が存在します。また語幹末の低母音の削除と交替などがあります。
    文字はラテン文字を使っています。スペイン語のアルファベットと同じです。そのため、基本の26文字に変音の「Ñ」が加わります。ただし、「C, Q, V, W, Y」は外来語専用表記です。

     

    日本語も独自性の強い言語で、孤立した言語(language isolate、isolated language)でもありますから、先印欧語にも親近感がわいてきます。

     

  • ドイツ語入門 番外(Amerikanische Deutsch)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回はドイツ語入門の番外編を勝手に語ります。

     

     

    前回は「ドイツ語入門2(Deutsche Verbstellungen)」で、ドイツ語らしい動詞の位置についてを取り上げました。今回は、番外編としてアメリカ・ドイツ語(Amerikanische Deutsch)についてです。

     

    ドイツ語が日常的に使われている地域は、当然ながらドイツやオーストリア、スイスなどですが、ヨーロッパから遠く離れたアメリカでも、ドイツ語が使われている地域があります。その代表格といえばアメリカのペンシルベニア州です。そこで使われるドイツ語は「ペンシルベニア・ドイツ語(Pennsylvania-Dutch, Pennsilfaani-Deitsch)」ともいわれ、ドイツ語の一変異言語という扱いにもなっています。カナダからアメリカ中西部で。約15万から25万人が話者だといわれます。系統としては、高地ドイツ語の上部ドイツ語で、アレマン語の一方言です。しかし、実際には複数地域の方言が融合して、独特な言語になったとも考えられています。
    17世紀から18世紀にかけて、ドイツ、スイス、フランスのアルザス・ロレーヌ地方から移住してきた人々の子孫だといわれています。そのほとんどはキリスト教ルーテル派を起源とする信徒で、「アーミッシュ」や「メノナイト」といわれる人々です。

     

    このペンシルベニア・ドイツ語ですが、「transeuro Academy」というサイトのブログに、「主の祈り」というキリスト教の主祷文での例文が掲載されていました。引用させて頂きたいと思います。

     

    ペンシルベニア・ドイツ語
    Unser Vadder im Himmel,
    Dei Naame loss heilich sei,
    Dei Reich loss komme,
    Dei Wille loss gedu sei, uff die Erd wie im Himmel.

     

    標準ドイツ語
    Vater unser, der Du bist im Himmel.
    Geheiliget werde Dein Name.
    Zu uns komme Dein Reich.
    Dein Wille geschehe wie im Himmel also auch auf Erden.

     

    日本語訳
    天にまします我らの父よ
    汝の名を讃えよ
    汝の国は我々に来た。
    あなたの御心は、天にあるように地上でも行われる。

     

    かなり難しいというのが、正直な感想です。
    やはり、独自に発展した方言は分かりにくいといえます。
    次に、Wikipediaで調べてみると、アメリカのドイツ語について、かなり面白くまとめてありましたので、こちらも紹介したいと思います。この中で「特徴」として、「文末に来る動詞も前に来る」「過去形と同じ意味の完了形(haben+過去分詞)を現在形のように用いる」「ウムラウト記号を無視する」などは、興味深いといえます。
    これらの中で、過去分詞の扱いが、完全に英語のような扱いになっている例が、じつに分かりやすいといえました。

     

    アメリカ・ドイツ語
    Ich habe gekauft das auto.

     

    まず「auto」ですが、名詞なのに大文字にしないのも英語的ですが、何といっても「gekauft」の位置です。ドイツ語らしくない語順なので、違和感だらけです。
    普通のドイツ語にしましょう。

     

    標準ドイツ語
    Ich habe das Auto gekauft.

     

    ただ、2格を使わずvonを使うというのは、それほど違和感はありませんでした。

     

    標準ドイツ語
    Ich habe das Auto gekauft.

     

    Ich bin ein bürger von der Europaisch Bund.
    Ich bin ein Bürger der Europäischen Union.

     

    おそらく、「von」は標準ドイツ語でも決しておかしくないし、むしろ2格を使わないほうがスマートな気もします。でも、実際はどうなのでしょうか。
    少し調べただけですが、かなり興味を持ちましたので、今後も情報を集めようかと思う次第でした。

     

  • ドイツ語入門 2(Deutsche Verbstellungen)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回はドイツ語入門の2回目について勝手に語ります。

     

     

    前回は「ドイツ語入門(Übersicht)」で、概要を勝手に述べましたが、今回は少しドイツ語そのものに触れてみたいと思います。特にドイツ語らしい動詞の位置についてです。

     

    イメージ的にドイツ語は論理的な文法に縛られて、かなり堅苦しい感じがするかもしれません。特に大学の第二外国語で学んだ人は、特にそのように思うでしょう。
    しかし、ドイツ人同士の会話を聞いたり、あるいはドイツ映画などを観たりすると、必ずしも堅苦しい表現をしているとは限らないことに気づきます。もっとも、聞き取れれば、ですが。
    特に目立つのは語順の自由さです。
    ドイツ語は動詞が基本的に2番目にきます。裏を返すと、動詞を2番目にさえしておけば、1番目は何でも良いとなります。そこで強調したいこと、あるいは話題にしていることなどを最初に置き、次に動詞を置けば、それだけで話の流れがスムースになります。あるいはドイツ人らしい会話になります。日本では、あまりこれは重視されず、和文独訳では、必ず主語を1番目にしますので、なんとも会話ではぎこちない文章になってしまいます。

     

    具体例を挙げましょう。

     

    In Deutschland habe ich zum ersten Mal von den Überbleibseln der Zeit des Kalten Krieges erfahren.

     

    最初の語句が「In Deutschland」、2番目の動詞が「habe」、これは3番目の「ich」が主語なので「haben」が変化したものです。訳は、最初が「ドイツで」、主語と動詞で現在分詞を形成して、「habe」が関係する現在分詞の動詞は文末の「erfahren」になります。これもドイツ語の特徴で、この場合は必ず文末や句末に置かれます。なので、それさえ守れば自由度は高いことになります。「erfahren」は「知る」「識る」「分かる」などの意味です。
    つまり、ドイツで知った、というのがこの文章の骨格です。
    では、何を知ったのか、それが主語から文末までの語句にあります。まず「zum ersten Mal」は「初めて」、「den Überbleibseln」は前置詞の「von」の格支配を受けています。意味は「痕跡」です。「der Zeit」は時間という意味ですが、ここでは「時代」、それが何の時代かというと「des Kalten Krieges」 は冷戦なので「冷戦時代」となります。
    つまり日本語訳としては、「ドイツで初めて冷戦時代の痕跡を知った」となります。初めてを強調したければ、語順をかえて、「Zum ersten Mal habe ich von den Überbleibseln der Zeit des Kalten Krieges in Deutschland erfahren.」。意味は変わりません。ただ印象が異なります。

     

    このように何を強調したいのかが極めて明確に伝える自由度がドイツ語にはあるのです。さらにドイツ語会話という面でいえば、まず頭に浮かんだ単語を最初に言い、そこから文章にしていけば良いという点も挙げられます。文法に自信がなくても、このパターンで会話をしていけば、文法が間違っていても、何かと通じやすいというメリットがあります。
    大学では教えてくれないことですが、ドイツ語会話はこの自由度を大いに利用するのがベストだと思います。
    さらに、もう一点、会話で主語が自分自身になる場合、「ich」ばかりを連続で最初に使うことになり、単調な印象になってしまうことを避けることができます。これも実際のドイツ人同意の会話を聞けば、いかに最初に「ich」を言っていないか、よくわかります。

     

    最後に、このパターンで、もう少し簡単な例文を挙げておきましょう。

     

    Ich gehe nach der Arbeit zu einem Fussballspiel.
    (私は、仕事のあと、サッカー観戦に行きます)

     

    Nach der Arbeit gehe ich zu einem Fussballspiel.
    (仕事のあと、サッカー観戦に行きます)

     

    Zu einem Fussballspiel gehe ich nach der Arbeit.
    (サッカー観戦に、仕事のあとで行きます)

     

    何となく、ドイツ語に親しむ気がしましたでしょうか? 逆効果だった気もしますが、懲りずに機会があれば3回目も考えています。

     

  • ドイツ語入門(Übersicht)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回はドイツ語入門について勝手に語ります。

     

     

    国別ワイン生産量でベスト10に入り、ヨーロッパでは4位を誇るドイツでは、当然ながらドイツ語が話されています。
    ドイツ語の話者人口は約1億3000万人なので、日本語に近い人数を誇ります。インターネットの使用人口の全体の約3パーセントがドイツ語といわれ、ウェブページの数では、全サイトの約6%を占めているようです。これは英語に次ぐ数の多さで、ヨーロッパ全域でもロシア語に次ぐ多さを誇ります。欧州での共通言語的な役割を担うのは英語でしょうが、実際の話者ではドイツ語は英語に次ぐ規模の人数になっています。
    ただ、ヨーロッパでは話者が多いものの、他の大陸では話す人は少なく、それが英語、フランス語、スペイン語との差になっています。

     

    日本の場合、大学の第二外国語ではフランス語と並んで定番といえますが、日本でのドイツ語教育は世界的にかなり特殊です。
    特に1格、2格、3格、4格という分類方法は独特で、かつてはそれぞれ、主格、属格、与格、対格といっていました。これを男性名詞、女性名詞、中性名詞の定冠詞と不定冠詞にあわせて変化させるように覚えさせるのが一般的です。この手法は、おそらく日本固有のもので、世界中どこを探しても他ではこのようなやり方をしていないでしょう。即刻めたほうが良いものですが、日本ではこれでマスターした人間がドイツ語を教えているので、難しいだろうとも思います。
    また、このやり方は古典的なドイツ語の読解方法としては機能しますが、総合的な学習、特に会話をマスターするには邪魔以外の何物でもありません。

     

    このような日本のドイツ語学習方法は、格変化を数式的にまとめたもので、裏を返すとドイツ語文献を機能的に読解するための日本人の知恵ともいえます。
    この格変化ですが、実は英語にもあります。しかし、わずかに代名詞くらいしか関係しないので、英語の学習経験者からすれば、厄介なものになるのかもしれません。ちなみに、英語の場合は、一人称単数の人称代名詞で「私は」という主語になる場合は「I」、「私の」という所有格は「my」、他動詞を使った際の目的格「私を、私に」だと「me」と変化する、この変化パターンです。ドイツ語の場合は、代名詞だけでなく、冠詞や形容詞も、日本的ドイツ語教育方法でいう1格から4格まで変化するわけです。
    この名残で、大学時代に第二外国語でドイツ語を選択していた人に、覚えているドイツ語があるかときくと、結構な確率で「der des dem den」とか「die der der die」「das dem dem das」という格変化だけ覚えているという人がいます。これをドイツ人にいうと、全く意味不明という顔をされます。

     

    さて、そんなドイツ語ですが、フランス語やイタリア語と同様に方言が多岐にわたっています。
    その中で標準ドイツ語と呼ばれるのは、発音では低地ドイツ語地域のハノーファー周辺の言葉といえます。これはオストファーレン方言(Ostfälisch)の地域ですが、ドイツのテレビでアナウンサーが話す発音に近く、日本人のドイツ語学習者も一番聞きやすいかもしれません。北低ザクセン方言(Nordniedersächsisch)に慣れている立場からしても、この地方の発音は違和感もなく、耳に心地よいドイツ語に聞こえます。
    逆にミュンヘンのあるバイエルンやウィーンを中心とするオーストリアのドイツ語は、特に「s」+母音の発音が濁らないので、油断すると全く意味不明になって聞こえることもあります。また独特な省略もその地方ならではのものがあるので、その違いを許容することが重要です。ちなみにスイスのドイツ語は難しいです。
    ただ、基本的にドイツはどこでも訛りがあると考えていたほうがよいので、むしろ訛りを気にしないのが一番かもしれません。

     

    イタリア語と同様に母音はローマ字読みが基本なので、この点は英語より楽です。ただ、ウムラウトがありますので、これには注意です。特に「Ö, ö」です。旅行会話集などに、「ありがとうございます」をドイツ語のカタカナ表記で「ダンケ・シュエーン」と書かれたりしていますが、この中に「ö」が使われていますので、そのように言っても、ドイツ人には通じません。日本語にはない音だからです。かなり練習しない限り、ありがとうと、日本人はドイツ語で言えません。
    ちなみに「Ö, ö」は、「o」を発する口で「e」と言う音です。

     

    久しく使っていなくて忘れていたドイツ語ですが、この機会に勉強しなおそうかと思っています。

     

  • イタリア語入門(panoramica)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    フランス語に続き、今回はイタリア語入門について勝手に語ります。

     

     

    ワイン生産量の国別ランキングでフランスを抑えてトップに君臨するのがイタリアです。
    そのイタリアで話される言語がイタリア語になります。
    しかし、もともとイタリア半島で使われていた言語はラテン語でした。そのラテン語も古代イタリア人の一派だったラテン人が、古代ローマによるイタリア統一があったからでした。古代ローマだけでなく、イタリア半島周辺の公用語がラテン語となり、やがてローマの拡大とともに広がっていきました。
    ローマ帝国となってからは、支配する地中海沿岸部だけでなく、様々な地域でラテン語が広がっていきました。

     

    しかし、ローマ帝国が東西に分裂し、版図内の各地ではローマとの直接的な結びつきに変化が生じ、民衆ラテン語の方言化を招くことになりました。イタリア半島ですらイタリア方言化したほどでした。その結果、方言の独自化が進み、いつの間にか、他地域の民衆ラテン語とは異なる言語にまで変化し、これが古イタリア語となりました。
    この変化がどのような変遷を辿ったかは分かっていませんが、10世紀頃には民衆ラテン語とは別の古イタリア語が成立していたようです。

     

    では、現在のイタリア語の基盤となったのは、いつごろなのでしょうか?
    ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)の影響があったといわれます。彼は当時、都市国家だったフィレンツェ出身の詩人であり、哲学者であり、政治家だった人物です。フィレンツェはトスカーナ地方にあり、トスカーナ方言の言語でしたが、これにナポリ語やシチリア語の語彙を取り入れた言葉で文学作品を執筆しました。これが現在のイタリア語の中核をなしました。
    共通語・標準語を求める動きに対して、このダンテの事績をもとにしたのでした。
    ただこれも反対がありました。トスカーナ方言が標準語になるのに反対する人たちは、トスカーナ方言だけでなく、ガロ・イタリア語、ヴェネト語、ナポリ語、シチリア語、サルデーニャ語などを平等に配分することを主張していました。

     

    最終的に標準イタリア語がダンテのトスカーナ方言を中心とするものとなりましたが、当初は上流階級の言語という扱いでした。そのため、一般民衆は相変わらず方言を話していました。
    そのような状況の中で、フランスが方言を廃止する政策を取り、イタリア政府も国民意識の向上政策として、フランスを見習うことにしました。これで方言の廃止と標準語の浸透が国家政策となりました。
    この言語の統一が民族主義とも結びつくことになり、イタリアの統一から世界大戦へと繋がることにもなりました。その一方で、イタリア国民は標準イタリア語を誰でも理解できるようになり、統一国家としては行政面をはじめ、あらゆる面での利便性もあることになっています。

     

    では、日本人がイタリア語を学ぶとしたら、どうでしょうか?
    発音については、子音と母音が一対一の場合はローマ字読みに近くなります。と、いうよりも、そもそもローマ字なので、ローマはイタリアで、その母音の表記に倣っているわけですから、当たり前の話です。
    一般的にイタリア語は英語などと違って、発音が規則的といわれます。同じ綴りなのに発音が違うというイレギュラーが少ないといわれます。
    ただ母音は7種類なので、単純にローマ字と同じではありませんので、念のため。

     

  • フランス語入門(Vue d’ensemble)

    プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
    今回はフランス語入門について勝手に語ります。

     

     

    ワインといえばフランス、フランスで話される言語はフランス語。
    このフランス語ですが、単にフランス国内だけでなく、フランスの旧植民地だったアフリカ西北部なども含め、全世界で1億2300万人の母語であり、2億人以上が公用語・第二言語(第一外国語)として使用しています。
    しかし、実をいうとフランス国内で話される言語はフランス語だけでなく、オック語やアルピタン語などもあり、いわゆるフランス語というのはフランス北部のオイル語が母体のことで、必ずしもこの言語を日常的に話す人が多いわけではないのです。

     

    では、オック語ですが、これはどこで話されているかというと、フランスの南部です。厳密にはロワール川以南の地域で、ローヌ=アルプ地域圏一帯になります。ただし、この地域にはバスク語圏やカタルーニャ語圏がありますので、それらを除いた地域になります。
    このオック語はフランス語でないばかりか、方言の派生語でもありません。ロマンス語の一種といえます。このロマンス語はフランス語と同様に俗ラテン語から派生していますが、むしろカタルーニャ語に近いといわれます。

     

    アルピタン語は、フランコ・プロヴァンス語やフランコ・プロヴァンサル語などともいわれます。イタリアやスイスの国境付近で話される言語で、一般的にはフランス語の方言とされています。しかし、方言としては違いがあまりにも多く、別の言語といったほうが的確といえます。
    アルピタン語はイタリアのヴァッレ・ダオスタ州ではアオスタ語とも呼ばれています。

     

    オイル語は現代のフランス語の母体といわれ、オック語と同じように俗ラテン語からの派生です。ただしオック語が南フランスなのに対して、オイル語は中世の時代では北フランスで話されていました。オイル語にも諸語あって、フランス語はその中の一方言でした。
    オイル語の派生語としてワロン語などもあり、最初はこれもフランス語の方言という扱いでしたが、現在では独立言語として捉えることも多くあります。
    これはフランスの言語政策によるもので、現代フランス語を除いた他の言語は地方で母語として使われているにすぎません。しかしこれは裏を返すと、フランス語という統一したものは、ある種の幻想ともいえるわけです。

     

    別言語ではなく方言という扱いでも、ワインと密接な繋がりがあるものとしては、シャンパーニュ語、ブルゴーニュ方言、ロレーヌ方言などもあります。シャンパーニュ語もロマンス語の一つです。
    フランシアン語というのもあります。これはフランス語が確立する以前にパリ周辺で話されていた言語です。

     

    フランス国内やその周辺でも、これだけ多岐にわたるわけですから、これがアフリカ諸国、カナダなどになると、独自の発展をした方言になっているのが、むしろ当然といえます。
    では、日本人が学ぶフランス語は何か、というと、これは標準フランス語になります。ただし、この標準のフランス語を実際に話す人はどのくらいの割合なのかは分かりません。それでもフランスのテレビなどで話される言語ですから、まずはこれをマスターして、それぞれの地方で、もし暮らすことがあれば、徐々にその言語を受け入れていくのが一般的かもしれません。
    そして日本人にとっては、母音が5つしかない環境で育ってきたことから、13の口腔母音と4つの鼻母音で構成されるフランス語は、最初に発音で苦労するかもしれません。子音でも、二重子音字が多いにも関わらず、長子音が少なく、英語とも異なる独特のものですので、まずは慣れるのが大事かもしれません。
    それでもフランス語を話せるようになりたい方は、ぜひ頑張ってください。ワイン屋の店長ですが、フランス語は苦手です。フランス語入門はこの概要だけで終わるかもしれません。

     

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