プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
明けましておめでとうございます。今年もワインとワインに関連すること、またはワインと関係ないけど何となく関係している気になることをブログで投稿していきますので、よろしくお願いします。
2021年最初は初日の出と紐づけて、東京23区内最高峰・愛宕山について勝手に語ります。
初日の出。元日の朝、太陽が水平線や地平線から姿を現す様を見るのは、日本の風物詩といえます。一年に一度の最初の夜明けであることから『めでたい』とされています。日本では古くから習慣化されたものです。
江戸時代でも盛んに行われていて、平地の江戸では芝高輪の愛宕山が初日の出の名所でした。
この愛宕山ですが、現在の東京都港区愛宕にある丘陵です。三等三角点があり、標高は25.7mになります。天然の山としては東京23区内最高峰です。ちなみにこれはあくまで自然の地形で「山」と呼ばれるものの中で最高峰という意味です。人造の「山」まで入れると、最高峰は新宿区の箱根山になります。標高は45mです。また、純粋に標高の高さだけでいうと武蔵野台地となり、練馬区南西端地域は標高が約58mになています。
愛宕山には山頂に愛宕神社が鎮座しています。徳川家康が勧請させた神社です。そのことから徳川家康の出世にちなみ、「天下取り」「勝利」の神として知られるようになりました。参勤交代で江戸に来た各藩の大名などは、この愛宕神社の分霊を地元へと勧請することが多くありました。
ただ愛宕神社としては京都が総本社です。こちらは山城・丹波国境の愛宕山の山頂に鎮座しています。標高924mです。比叡山と並ぶほどの信仰を集めてきました。
また江戸の愛宕神社には、徳川家康が勝軍地蔵菩薩も勧請し、本地仏として別当寺の円福寺に祀りました。明治の廃仏毀釈の際には円福寺が廃寺になりましたが、勝軍地蔵菩薩像は真福寺に移され、大正のが関東大震災で焼失ししてしまいました。現在、真福寺・愛宕東洋ビル一階外側に祀られているのは、1934年の弘法大師1100年御遠忌記念として銅製で復元されたものです。
このように江戸時代から愛宕山は信仰の山であり、山頂からの景観が素晴らしかったことから、初日の出の場所として人気が出ました。
昭和の時代には、愛宕山事件の舞台になりました。1945年(昭和20年)8月15日、日本はポツダム宣言を受諾し、連合国に降伏することになりました。玉音放送が国内に鳴り響きました。しかし、この降伏に反対する右翼団体がありました。「尊攘同志会」で、首領の飯島与志雄ら12名が愛宕山に武装して篭城したのでした。飯島らは抗戦派軍人の決起を期待していました。これに対して、警視庁は愛宕山を包囲し、投降を呼びかけました。それでも警視庁の説得を拒否したため、ついに警官隊が発砲し、突入したのでした。飯島与志雄らは手榴弾で自決を図りました。このときの死者は10名、捕らえたのは2名でした。
現在の愛宕山は、周囲の高層ビルと比べると決して高い場所ではなく、江戸時代のような見晴らしはありません。それでも都内中心部とは思えないほど緑に囲まれ、今でも人気の場所であることに変わりはありません。