プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回はエルミタージュについて勝手に語ります。
エルミタージュ(Hermitage)というと、どうしてもロシアのサンクトペテルブルクにある国立美術館を思い浮かべてしまいます。
しかし、エルミタージュとは本来、フランス語で「隠れ家」を意味します。
これが地名に使われているのは、フランス南東部オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏ドローム県のコミューンにあり、クローズ=エルミタージュ(Crozes-Hermitage)といいます。
この地域こそ、ローヌワインの発祥地であるタン=レルミタージュのすぐ北にあり、ローヌ地方のAOC認証のワインを生み出しているのです。
AOCのブドウは、クローズ=エルミタージュだけでなく、タン=レルミタージュ (Tain-l’Hermitage)、ラルナージュの3つの自治体で生産されています。
共通点は急斜面の畑が多いことです。
タン=レルミタージュは、ローヌワインの生産・流通の中心地になっていて、世界最高級品質と言われるヴァローナ社もあります。
ローヌワインは歴史も古く、フランスでは最古といわれ、紀元前600年頃にはブドウ栽培が行われていたともされています。
しかし、現在では、ボルドーやブルゴーニュの圧倒的な知名度からはかけ離れてしまい、特に日本人にはあまり馴染みのないワインになっているかもしれません。
しかも、ラングドック=ルシヨンやプロヴァンスのワインと一緒にして「南仏ワイン」と一括りにされたりもしています。
ローヌワインのブドウ生産地域を全体で見ると、気候的には北と南では異なります。
北は大陸性気候、南は海洋性気候になり、さらにいえば土壌も北が花崗岩質に対して、南は砂利の混じったものになります。
北部で生産される赤ワインは極めて特徴があり、その中でシラー種による赤ワインは、チョコレートが焦げたような香りがすることで知られています。。白ワインはヴィオニエという品種の強い香り辛口が作られています。
南部はブドウ品種が多彩になっていて、地区によって違うこともあります。
このローヌワインの中のエルミタージュだけに絞ると、ブドウの栽培面積はかなり狭く、合計でも150ヘクタール程度しかありません。さらにいえば、輸出用ワインは少なく、地元での消費用がほとんどです。従って、エルミタージュのワインを堪能したかったら、直接行くしかないかもしれません。