プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回は除夜の鐘について勝手に語ります。
クリスマスを祝い、除夜の鐘を聞き、初詣に行く、これが日本人の年末年始の風景といえるでしょうが、この一連の流れには、キリスト教、仏教、神道の3種類の宗教が混在したものになっています。キリスト教やイスラム教の国家では、絶対にありえない話です。日本人ならではの宗教の寛容さは、日本古来の神道がすべての宗教を受け入れてきたからともいえます。
多くの日本人は、唯一神の宗教を信仰することに抵抗があるのか、それともすでに神道に包まれてしまったのが当然と思っているのか、そこまでは良くわかりません。ただ言えるのは、過激なイスラム教徒のテロについては、それだけの報道などでイスラム教を誤解する傾向があり、そもそも積極的に他宗教を知ろうとしていないともいえます。
宗教は文化の一部でもありますが、島国の日本では異文化に触れる機会が少なく、自分たちの都合の良いように解釈し、それを内部へと包み込むことで安心する面があるのかもしれません。
そんな日本の年末の風物詩である除夜の鐘ですが、実際に寺院で聞く人もいますが、大抵の人はテレビで中継されるのを聞きます。ワインでも飲みながら年末の気分を味わって、除夜の鐘を堪能する人もいることでしょう。
その除夜の鐘ですが、一般的に撞かれる数は108回です。この数は煩悩の数といわれています。 108もの煩悩とは何だろうと不思議に思う人もいるでしょうが、基本となるのは六根(ṣaḍ-indriya)です。視覚能力もしくは視覚器官の「眼」・聴覚能力もしくは聴覚器官の「耳」、嗅覚能力もしくは嗅覚器官の「鼻」、味覚能力もしくは味覚器官の「舌」、触覚能力もしくは触覚器官の「身」、知覚能力もしくは知覚器官の「意」です。ようするに五感に知覚を加えたものです。
この感覚機能には、それぞれに「好」、「悪」、「平」があり、6×3=18となります。さらにこの18種類に「浄」、「染」があるので、18×2=36となります。この36は、「前世」、「今世」、「来世」にそれぞれあるので、36×3=108となります。これが人間の煩悩の数となるわけです。
また、108回には別の説もあります。12か月の12、二十四節気の24、七十二候の72を足すと108となります。つまり1年間を表すというものです。
ちなみに韓国でも大晦日に鐘を撞く習慣がありますが、回数は33回です。108回ではありません。煩悩ではなく忉利天に由来するといわれています。これは欲界における六欲天の第2の天で、三十三天というものなので、この数だけ鐘を撞くわけです。
2020年は新型コロナウイルスの拡大により、いつもの年とは異なる年末年始となりました。
せめて除夜の鐘で煩悩を消し去るとともに、コロナ禍から脱することを願います。来年は感染対策を気にすることなく、自由にワインを楽しめるようになりたいものです。
今年もお世話になりました。来年もプレゼント用ワインの専門店シエル・エ・ヴァンをよろしくお願い致します。