プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回はパッサウについて勝手に語ります。
中世からワインや穀物、塩などを貯蔵し、河川航行によって物流基地としての重要な収入源になっていたパッサウ(Passau)は、、ドイツ南東部に位置します。
バイエルン州に属する都市ですが、ミュンヘンからは電車で2時間以上かかる距離にあります。国境もオーストリアとチェコに接しています。
「ドライフリュッセシュタット(Dreiflüssestadt)」の異名があります。意味は「3つの河川の街」となります。
それもそのはずで、ドナウ川(Donau)、イン川(Inn)、イルツ川(Ilz)という3つの河川がここで合流するからです。 西からはドナウ川、南からはイン川、北からイルツ川が流れてきます。
またこの街で有名なものといえば、世界最大のパイプオルガンです。
それはシュテファン大聖堂(Stephansdom)にあります。
14世紀後期のゴシック様式で建設されましたが、一部を除いて1662年に火事で破壊されてしまいました。再建の際に、聖堂はバロック様式に変わりました。
見た感じは全体的に地味な印象かもしれません。特に西側正面は荘厳さがありながら、どこか質素な印象も抱きます。世界最大のパイプオルゴンのある聖堂という感じはしません。
このパイプオルガンは1928年に作り直されています。世界最大といわれるだけあって、1万7388本のパイプと231の弁装置を持っています。有料ですが、リサイタルもあるので、世界最大の音色を聴きに行くだけでも価値があります。
パッサウは川を使った交易で栄えた都市ですが、神聖ローマ帝国で最大規模の司教区でもありました。
ザルツブルク大司教と肩を並べるほどといわれ、15世紀まではオーストリアのドナウ流域全体を包括していたほどです。その地域の中にはウィーンも含まれていました。
「パッサウ条約」の舞台でもありました。これはアウクスブルクの和議(Augsburger Reichs- und Religionsfrieden)への流れを決定づけたものです。
ドイツの中欧地域でのプロテスタント容認の決議への第一歩でした。
しかし、この宗教和議については、ハプスブルク家の帝国支配への道は閉ざされたものの、カルヴァン派は認められず、あくまでルター派だけの容認ということもあり、のちの悲惨な三十年戦争の契機ともいえました。
パッサウの中心部は川に挟まれていることで、狭く、広い道路もありません。
しかし、それこそがドイツの都市らしい雰囲気を残し、さらに交易により様々なワインがここに集まったと思うと、ここで各地域のワインを飲み比べてみるのも悪くありません。
電車では不便かもしれませんが、ここには以前、クルマで行きました。川沿いのドライブも悪くありませんでした。