プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回はヴィースの巡礼教会について勝手に語ります。
ヴィースの巡礼教会(Wieskirche)は、日本人に人気のドイツ・ロマンテック街道終点のフュッセンの近くにあります。
しかし、街道から外れていることもあるのか、意外と知名度は低いようです。
ヨーロッパでは数えくれないくらいの教会を訪れていますが、このヴィース教会は格別です。見た目は質素で、ロケーションもかなりのどかな牧草地ということもあって、知らなければ田舎の少し大きな教会でしかありません。
なにがそこまで魅了させるのかといえば、ロココ装飾の素晴らしさです。
ユネスコ世界遺産に登録されています。
この教会は「奇跡」の伝説から始まります。
1738年のことです。
シュタインガーデン修道院の修道士が彫った「鞭打たれるキリスト」の木像を農家の夫人が譲り受けました。
その木造が6月14日に涙を流したというのです。
この噂は広まり、「ヴィースの涙の奇跡」と呼ばれるようになりました。
そのため、木像を所有する農家に、多くの巡礼者が集まるようになったのです。
そして1740年、キリストの木像は牧草地の小さな礼拝堂に移しました。
巡礼者はますます増加し、シュタインガーデン修道院により一般からの浄財を募ることで、小さな礼拝堂を教会とする建設資金捻出へと動きました。
1757年に完成し、ヴィースの巡礼教会となりました。
設計はドミニクス・ツィンマーマンによりました。
彼こそがドイツ・ロココの完成者として知られる人物だったのです。
ちなみに、世界的に見てロココ様式の代表作品としては、他にベルサイユ宮殿の小トリアノン、マイセンやセーブルの磁器、チッペンデールの家具などがあります。
ヴィース教会の「ヴィース」は「草原の中」という意味で、フュッセンとオーバーアマガウを結ぶ場所にあります。
そのため交通の便は極めて悪く、公共交通機関は一日数本程度のバスだけしかありませんでした。おそらく今でも変わっていないではないかと想像します。
しかし、クルマでは容易に行くことができます。
教会の関係では、オーバーアマガウとセットで行くと素晴らしいルートになります。
キリスト受難劇にワイン オーバーアマガウ
ワイングラス片手に、今宵はロココ様式を思い出しましょう。