プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回はハッテンワインについて勝手に語ります。
日本でも人気の観光地にインドネシアのバリ島があります。
しかし、バリ島では他のアジア諸国と比較して酒類の価格が圧倒的に高いといえます。世界的な観光地なので高額ということもあるのでしょうが、インドネシアの国民は80%以上がイスラム教徒ということで、飲酒を禁止したイスラム法に基づいている国ゆえに、酒類の需要が低いという理由もあります。
それでもわずかな量ではあるものの酒類の国内製造は行われ、実際に流通もしています。ただし、酒税はかなり高いといえます。
そんなバリ島で昔から生産されているワインといえば、ハッテンワインです。
バリ島北部のシガラジャ(Singaraja)にブドウ畑があり、そこで収穫されたブドウをサヌール(Sanur)で加工しています。まさに純バリ産ワインです。
特に白ワインは品種がアレキサンドリアで、フルーティな味わいということもあり、東南アジア独特の辛くスパイシーな料理にもあうといわれます。
ただし、それは最近の話で、昔は日本人にはとても飲めたものではないと酷評もされていました。
ブドウ栽培地のシガラジャは旧称がブレレンで、1849年にオランダの植民地政庁が置かれました。
そのため、オランダの植民地政策の軌道に乗ってコロニアルな町作りがなされてきました。今ではバリ州ブレレン県の県庁所在地となっています。
ところが不思議なことに、シガラジャ自体には自治体はありません。ブレレン県ブレレン郡に属する複数の村で構成された県庁所在地の名称なのです。
一方、ワインを生産しているサヌールは、インドネシアバリ島屈指のビーチリゾートです。
特に人気なのはサヌール海岸先に位置するヌサペニダ島です。ダイビングの人気スポットであると同時に、海亀の産卵地としても知られています。
歴史的な側面では、バリ島のカースト制度の時代から最高位のブラフマナ階級の居住が多かったことで、高級リゾート地の礎が築かれていったといえます。
ただ、太平洋戦争のときには、日本軍の上陸地点でもありました。
これは、日本軍の南方進出によるジャワ島攻略の一環で、日本軍が進出したことを意味します。これに対してオランダ軍も反攻をしますが、その際もオランダ軍の上陸地点でした。そのため、サヌール海岸付近の海域には海戦が行われ、沈没船もあるといいます。
今では戦争の傷跡よりもリゾート地としての発展が目覚ましく、その原資となったのは日本の戦争賠償金だったようです。
バリ島に行く機会がない限り、日本でファンでない限り、積極的にハッテンワインを飲もうと思うことはないでしょうが、知識としては知っておいて損はないでしょう。