プレゼント専門シエル・エ・ヴァンの店長・ハヤシです。
今回語るのは、シベリアの真珠です。入院中ですが、いつものように勝手に語ります。
琵琶湖のおよそ46倍という面積を誇る湖・バイカル湖が「シベリアの真珠」と呼ばれています。淡水湖で、最大水深が1,634~1,741mで、世界最深です。世界一の透明度でも知られています。
北西にバイカル山脈、北東にバルグジン山脈が連なっています。他にも多くの山々に囲まれた湖で、湖にはウシュカニ諸島もあります。
また世界で最も古い古代湖でもあるようです。しかも現在でもごくわずかではあるものの、広がっているといいます。
バイカル湖にアクセスする拠点で最大の都市はイルクーツクです。
ロシアの首都・モスクワからも日本に近いウラジオストクやハバロフスクからも鉄道で繋がっています。イルクーツク州の州都で人口は約59万人。
バイカル湖が「シベリアの真珠」なのに対して、イルクーツクは「シベリアのパリ」と呼ばれます。
古くから毛皮の集積地として発展し、中国だけでなく、タシュケントなどとも国境交易の基地になっていました。
イルクーツクに滞在した日本人で有名なのは18世紀末(江戸時代)に訪れた大黒屋光太夫で、交易の中心地として繁栄した都市であることを述べていました。
しかし一方でロシアから囚人や政治犯の送られる流刑地でもありました。
歴史的によく知られているものとしては、1825年のデカブリストの乱で、このときの政治犯や、1863年の一月蜂起の参加者などがイルクーツクに流刑されてきました。
ロシア正教会の宣教でも、シベリアの拠点とされ、聖人では「イルクーツクの奇跡者聖インノケンティ」がいました。
市内の教会では、スパスカヤ教会が有名といえるかもしれません。
シベリア東部で最も古い教会の1つで、18世紀に建てられました。レンガと石でできた白い教会です。屋根は緑で、独特なデザインといえます。「シベリアのパリ」と呼べれるものの、この教会は西欧のカトリック教会とは全く異質なものであることが分かります。
ロシア正教らしい雰囲気はズナメンスキー修道院で見ることができます。
いわゆるタマネギ屋根です。この修道院も古く、もともとは1693年に木造で建造され、1762年に石造りとして再建されました。商人のビチェーヴィンが寄付して建築された修道院です。
ソ連時代と違い、イルクーツクで宿泊できるホテルの数も増えたようで、バーで気軽にワインもオーダーできます。ロシアだからといってウオッカやコニャックを注文する必要はありません。
街並みは美しく、パリと表現することになるのは、サンクトペテルブルクやモスクワからの流刑民のおかげかもしれません。小さいながら都会的雰囲気を醸し出す街並みは、やはり都会で夢破れた人々の影響が多くありそうな気がします。
シベリアの真珠を堪能し、シベリアのパリでワインを飲む。
入院生活には、そんな想像が何とも贅沢です。