昨夜は、「幻のブルネッロ」といわれる、「アジィエンダ・アグリコーラ・ラ・チェルバイオーラ」(覚えるのが大変な名前ですね・・・)が造る上級キュヴェ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの09を愉しみました。
ワイナリーのオーナー兼創設者は、ジュリオ・サルヴィオーニさんという方で、既にお爺ちゃんといえるほどのご年齢です。
また、現当主でもあり、ブドウ栽培から醸造に至るまで、自らが先頭をきって作業に従事されています。
所有する畑は僅か4ha、さらにこの上級キュヴェとなるブルネッロの畑はもっと小さく、その上収量を抑えて造られるので、ワインは極少量しかリリースされません。
世界中のセレブにも、サルヴィオーニさんのワインは愛されており、大変希少&貴重なワインなのです。
さて、この小規模ワイナリーで造られる素晴らしいワインの源は、卓越したテロワールや丁寧なルーティン作業(栽培や醸造における)はもちろんですが、その最たる要因はやはりサルヴィオーニさんの職人技、そしてセンスです。
素晴らしいワインを造っていたワイナリーが、当主の世代交代により凡庸なワインしか造れなくなる事象は珍しくもなく、理論的に継承できること以外の、どこかアーティスティックなセンスがワイン造りには必要なのです。
ということで、既にご高齢であるサルヴィオーニさんが、いつ現場から引退されるかわかりません。
そう、いつまでもこの素晴らしいワインがリリースされるという保証はどこにもないのです。
そう考えると怖くなり、取りあえず24本、2ケース買いをしました。
私的にサンジョヴェーゼは好きな品種で、「やっぱりイタリアワインの醍醐味は土着品種だな」と思うわけです。
スーパートスカーナも悪くありませんが、イタリアワインを愉しむなら「これぞイタリア」というワインをチョイスしたいですね。
さて、このワイン、色調はガーネットで濃度はさほど高くなく、グラス越しに景色を透けて見ることができます。
香りはもう最高で、このワインでしか経験できないような幻想的なもの。
ブラックベリーやバラ、アダルトなシガー、スパイス、そして最上の甘さを感じるヴァニラのアロマ、はぁ~~、最高です。
口に含んでも香りの延長線上のニュアンスに加え、決して主張し過ぎない、それでいて存在感のあるタンニンと酸味、力強く物足りなさは微塵も感じないけど、サラッと飲めるライト感、これらのハーモニーはまさに妙技といえるほどで、バランス感は最高としかいいようがありません。
最高、最高と連呼しましたが、そうとしか表現できないほどに素晴らしいのです。
最後に余韻ですが、これまた最高!
信じられないほど長く続き、余韻に浸るという愉しみ方がたっぷり味わえます。