ワインには、その原料となるブドウの生育評価を示す「ヴィンテージチャート」なるものがあります。
・グッドヴィンテージ
・バッドヴィンテージ
等々。
良好なヴィンテージのことをグッドヴィンテージといいますが、原則グッドヴィンテージはおしなべて「長熟型」だといえます。
もちろん造り手やキュヴェによってマチマチですが、並級品以上のワインなら、グッドヴィンテージのブルゴーニュなら7~8年、ボルドーなら15年ほど寝かせておくと、熟成して本来のポテンシャルを発揮した素晴らしい状態になります。
グラン・ヴァンなど高級ワインのグッドヴィンテージなどは、最低でも20年は寝かせたいところです。
しかし、収穫年から5年以内の若いワイン(特にグッドヴィンテージの物)を抜栓後すぐに飲むと、渋かったり酸っぱかったりと、まるで青くて硬いトマトのようで、余り美味しくありません。
従って、本来ならワインが熟成するまで10年、20年と寝かせておくのが理想ですが、実際はそうはいきません。
ワインは非常に繊細な飲み物であるため、温度が25℃以上の環境に長期間保管されると劣化してしまいます。
かといって冷蔵庫に入れたりすると、低温すぎて熟成が進みません。
結局、自宅に専用のワインセラーがないと長期保存は難しい・・・。
ではどうしたらまだ若い、味の硬いワインを開かせられるのか?
一番手っ取り早く、しかも有効な方法が「デキャンタージュ」です。
デキャンタージュとは、ワインをデキャンタといわれる容器に移すことを指します。
これを行うコツは、ゆっくりと、なるべくワインを空気に触れさせるように丁寧に注ぐこと。
そうすることによって固いワインも次第にほぐれ、酸味・渋味の中から甘味がそっと顔を出し、芳醇な香りが立ちあがってきます。
ただし、気をつけなくてはいけないのは、「バッドヴィンテージ」のワイン。
グッドヴィンテージとは逆に、不作年のワインは、デキャンタすると逆に味と香りが壊れてしまう場合があるのです。
デキャンタージュとはまさにワインを花開かせる魔法の技ですが、構成の弱いブドウから造られたワインの場合は、一気に味を壊してしまう恐れもある、「もろ刃の剣」ともいえるもの。
最初の1杯はグラスで飲んでから、デキャンタを使うかどうか判断しましょう。
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